2011年9月1日木曜日

スヴェンは「君のサウンドはcocoonのサウンドだ。それが理由だ」と言った。

「YOU ARE THE WINNER OF OUR CONTEST !」
そのメールは7月26日遅くに届き、私はこれからの事を全て忘れてしまった程驚き、喜び、そして考えました「どうして、このタイミングなのか」。


日本国籍・パスポート・フルネーム・メールアドレス・Soundcloudアカウントだけで応募できた3月3日が締切の「スヴェン・フェートによるプロデューサー・コンテスト」に応募したのは3月2日、この画期的な試みを目にしたのは偶然からでした。ツイート元Takeru Amanoとリンク先Higher Frequencyにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。


不必要な部分まで日付を記していますが、結果的に私が震災前に作った最後の曲を応募したことになります。今思えば狭い世界で悩み、もがき、苦しみながら、ずっと昔の楽しかった思い出を寄せ集めるようにして出来たこの曲に「3745.8」と名付けた3月2日の時点では、よもや自分が現地オフィスで「おかぁさぁ~ん」「ハッチ~」のモノマネをするとは思いも寄らない事でした。それはともかく、曲完成から9日後の震災で私は会社から家まで数時間かけて歩いて帰る事になり、コンテスト自体も恐らく自然消滅となったのだろうと考えていました。しかし、オフィシャルサイトによると幸運にも私は優勝し、8月半ばにはフランクフルト・アム・マインに旅立ったのでした。




フランクフルトはマイン川を挟んで賑やかな街と静かな街が…一言で言うとそんな人口60万都市なのですが、これがもう信じられない程イイ街なのです。私達は時差ボケの影響をポジティブに捉え、ガイドも目的もなくひたすら街を歩きました。街中に広がるカフェテラスのパラソル、それと同じくらい街中を走っているトラム(路面電車)、建物の中庭にある店(これもだいたいカフェテラス)、ベルトコンベア式で「しきり」を自分で設定するスーパーのレジ、あちこちの川べりでさりげなく始まるカヤック、確かに「ケバブトラウム」と歌われても仕方がないと思う程たくさんあるケバブ屋(旨い)、舌が痺れるザワークラウト(旨い)、500mlのエナジードリンク、21時の夕暮れ...それは私にとってまさにカルチャーショックで、短めに旅行日程を設定してしまった自分を恨むばかりでした。




翌日cocoonオフィスと同ビル地下1階のcocoonclubに案内され、オフィスでは出発前「貰えたら最高だね」と冗談で喋っていたcocoonコンピレーションのレコードなどなどを頂戴し、クラブではブースに入ってみたりしてひとしきり観光・見学気分を満喫した後、夕方いよいよスヴェンに会う段になる頃には私はすっかりナーバスになっていました。そのナーバスは夕食に列席した面々、その日のcocoonclubでパーティーに出演するアクトを紹介される段になると、今年の最高値を示す事になります。「Maetrikは後で来るんだけど席はここで、こちらがC_Rock、そしてSascha Dive」...え、サッシャダイブ?こ、このみなさまで夕飯食べんの?うわー…(長い沈黙)。

同行者の助けもありなんとかトーク出来ましたが、スヴェンはとにかくジェントルマンでした。その時「何故私の曲が選ばれたのでしょう?私にとってこの曲のスタイルは不変ではあるものの、今のシーンからは少し外側にあるように思えるのです」という質問の答えがこのブログのタイトルです。

どうよ、改行ポイントだと思っただろう。その通りさ。感動した!
そしてサッシャとは「pi-geって知ってる?彼はナイスだよね(敬称略)」というような話をしました。



そのあとそのパーティーに向かい、ブースからスヴェンのミックスをつぶさに見る事ができました。bpmが123付近とは思えない盛り上がりを見せるフロアを逐一チェックしながらのミックスはとても丁寧で、曲そのものを非常に尊重する感じでした。ほぼアナログのみで1曲だけCDJを使いましたが、その曲は私の曲でした。そこで私は自分の曲のブレイクで満員のフロアから沢山の手が上がるのを目の当たりにし、スヴェンは振り返りニヤッと笑い、私は叫びました「イエー!!!!!!!!!!!」。


そんな激しい内容でしたがゴールでも通過点でもなく、始点として旅を終えることが出来た事をとても嬉しく、また誇りに思います。行程中様々なケアをしてくれたcocoon recordingsのEdgar,Pauli 東京ドイツ文化センターのFranziska そしてもちろんSvenに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。DANKE!

そしてその「3745.8」は各種ストリーミングサービスで聞くことが出来ます。

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