忘れられない為に何かをし続けなければならないとしたら、それはもはや楽しみではなく作業であって、しかし「継続」は何よりも尊く、続ける事が出来た人だけが楽しむ事が出来る…何を言いたいのかよく分からない。個人的な思いの部分で未だにこのアルバムに対して何を言いたいのか(何も言いたくないのか)。
そうでない部分から先に書いていくと、前作「trust」の重厚さから少し距離を置いて、テンポ的な緩急をつけながら(この感じは hundred million light yearsやtrustにはなかった )信じられないエンディングへ辿り着くこのアルバムは、きっと本人は否定するとは思うものの「集大成」あるいは「新しい始まり」をどうしても予感させる。本名名義の2枚目「sync positive」が1枚目「genesis」よりもkaito名義に近くなった事の揺り戻しの様に、本作はどこか物哀しいムードが漂っている。これしかない!と思わせたこのジャケットを近作と見比べてみると…
もちろんただ物哀しいだけでは済まず、「star of snow」のように自分は何かを聴く事でまだこんなにテンションがあがるのか!と思うような部分もあれば、日本盤ボーナストラック曲のようなただボリュームを上げて体を揺らすしかない曲もある、のだけれど、そのままシングルともなったRun through the road in the fog〜Behind my life(なんという曲名)の流れやDear Friendの諦観とも言えるムードはただならぬ部分があるような気がして、大きい音で聞くと踊るというよりは体を動かしながら大声を出したい気持ちになる。
しかし、そんな風に色々なことを考えていても最終曲「smile」で全て消えてしまう。「smile」は…なんと説明したら良いのかとても難しい。私にも、誰にも、この曲は作れない。じゃあ他の曲は作れるのか?は置いておいて「smile」には圧倒的な距離が、続けることを選んだ人だけが手にすることが出来る何かが、このアルバムを何度も何度も聴き続けたくなる終わりが、ある。単に諦めなければ辿り着ける訳ではないが私にはそれがとても眩しく思う。
そしてその眩しさはbeatlessのアルバムへ。
今初めて見ましたが「時の終わりへ」と題された本体のアルバムの最後の曲から始まるなんて。
今年唯一の記事です。よいお年を。